管理会社から契約更新を断られたら、最初に確認すること

管理会社から「次回の契約更新は行いません」と通知された。

理事長や役員にとっては、かなり重い話です。

契約終了まで時間がないのであれば、

「早く次の管理会社を探さなければ」と考えるのは当然です。

実際、後継の管理会社を探す作業は必要です。

ただし、私たちはその前に、もう一つ確認した方がよいと考えることがあります。

それは、

なぜ現在の管理会社が「もう続けられない」と判断したのかということです。

ここを確認しないまま、現在と同じ管理仕様で別の管理会社へ乗り換えると、数年後に同じ問題を繰り返すことになります。

反対に、原因を整理して管理方法そのものを見直せば、更新拒否が管理体制を立て直すきっかけになることがあります。

管理会社から契約更新を断られたとき、私たちが最初に見るのは「次にどこへ頼むか」だけではありません。

このマンションの管理体制のどこに無理が生じていたのか。

まず、そこを確認します。

更新拒否の理由を「管理組合が悪い」で片づけない

管理会社が契約を更新しない理由として、まず考えやすいのは採算です。

管理員や清掃員の人件費が上がった。

外注費が上昇した。

担当者が一つのマンションに使う時間が増えた。

以前なら採算が合っていた管理委託費だが、現在は利益が出なくなった。

こうした事情は十分にあり得ます。

しかし、ここで確認したいことが一つあります。

単に金額だけが問題なら、

「管理委託費を上げてほしい」という交渉で済みます。

にもかかわらず、契約満了で更新しないというのであれば、

「いくらなら管理してもらえるのか」という点だけでは説明できない部分があるということになります。

一方で、ここを一気に逆に決めつけるのは危険です。

管理会社から更新を断られたからといって、

「管理組合の運営が悪かった」とは限りません。

管理会社の経営方針として、小規模マンションから撤退することがあります。

営業地域を縮小することもあります。

管理員を確保できず、受託物件そのものを減らすこともあります。

会社の採算基準が変わり、それまで受託していた規模のマンションを扱わなくなることもあります。

こういった場合は、管理組合側が運営方法を反省し、改善したところで、契約継続にはつながりません。

そのため、私たちは、更新拒否を受けたときの原因をいくつかの視点で考えます。

管理会社側の事情なのか。
契約条件の問題なのか。
管理組合の運営上の問題なのか。
それとも、いくつかが重なっているのか。

これらの視点から考えます。

「突然断られた」ときほど、過去の経緯を見る

実務上、注意したいのは、

現在の理事会が認識している経緯と、管理会社が認識している経緯が一致しているとは限らないことです。

例えば現在の役員からすると、

「これまで特に問題はなかったのに、突然更新を断られた」ように見える。

ところが過去の記録を見てみると、

2年前に管理委託費の増額要請があった。

前年には管理員勤務時間の見直し案が出ていた。

その前には、契約範囲外の業務について整理してほしいという申し入れがあった。

ということがあります。

輪番制の理事会では、役員が毎年交代します。

そのため一つ一つの交渉は前任者が対応しており、現在の役員には問題の蓄積が見えにくくなります。

管理会社からすれば、

「数年間相談してきた」という認識でも、

現在の理事会からすると、

「突然言われた」となるわけです。

これは誰かが隠していたという話ではありません。

管理組合には、役員が交代しても経緯を残す仕組みが必要だということです。

更新拒否を受けたときには、現在の役員の記憶だけで判断せず、

少なくとも過去数年の理事会議事録、管理会社からの提案書、管理委託費改定の交渉記録などを確認した方がよいでしょう。

問題は「クレームが多いこと」だけではない

管理会社が契約継続を難しいと判断する原因として、

「クレームが多いマンション」が挙げられることがあります。

ただ、私たちはこの表現だけでは実態の説明には不十分だと考えます。

なぜなら、区分所有者が管理上の問題を指摘すること自体は悪いことではないからです。

管理会社の対応に問題があれば、指摘する必要もあります。

問題なのは、意見の内容よりも、

誰の判断が管理組合としての最終判断なのか分からなくなることです。

例えば理事会で修繕を実施すると決めた。

その後、ある区分所有者から管理会社へ、

「工事を止めてほしい」と直接連絡が入る。

別の区分所有者からは、

「早く工事を進めてほしい」と連絡が入る。

さらに理事から、

「もう一度理事会で検討したい」と言われる。

それぞれの意見には、それぞれ理由があるかもしれません。

しかし管理会社からすると、

「誰の指示に従えばよいのか」という問題になります。

制度上は、誰に決定権があり、管理会社は誰から指示を受けるのか明確ですが、

実務上、誰がそれらの意見を集約するのかが、重要です。

つまり、

人間関係の問題を含めた管理会社との意思疎通経路が整理されていないことが問題なのです。

こうした状態は管理会社を変更しただけでは直りません。

新しい会社になっても、同じ意思疎通の仕組みであれば、同じ問題が再び起こる可能性があります。

KTCなら、更新拒否の原因を4つに分類する

私たちが管理体制を考えるときは、できるだけ問題を一つにまとめないようにしています。

更新拒否の場合も、少なくとも次の四つに分けて考えた方が整理しやすくなります。

一つ目は、制度の問題です。

理事会、理事長、総会など、誰にどの決定権があるのか。

二つ目は、契約の問題です。

管理会社がどこまで行う契約なのか。

契約外なのに、長年の慣例で対応してもらっている業務はないか。

三つ目は、運営の問題です。

理事会で案件を決められているか。

担当者への指示が一本化されているか。

前年度からの引継ぎができているか。

四つ目は、人間関係の問題です。

管理会社への不信感。

特定の役員と担当者との対立。

一部区分所有者と理事会との対立。

これらは似ているようで、解決方法が各々異なります。

管理委託費を値上げすれば解決する問題もあれば、金額を上げても解決しない問題もあります。

担当者を変更すれば改善することもあれば、誰が担当しても同じ問題になることもあります。

だから、

「安い会社を探そう」

「もっと対応のよい会社へ変えよう」だけでは足りません。

何が原因なのかによって、管理体制を変える必要があります。

現在の管理会社に、できればここまで聞いておく

更新しないという結論そのものを覆せない場合でも、現在の管理会社から聞けることはあります。

単に、

「なぜ辞めるのですか」と聞くだけではなく、

「最も負担になっていた業務は何でしたか」

「管理委託費を見直せば継続できる問題でしたか」

「金額以外に継続を難しくした事情はありますか」

「契約範囲を変更すれば継続できる可能性はありましたか」

「次の管理会社へ引き継ぐうえで注意した方がよいことはありますか」

などを確認します。

管理会社が率直に話してくれるとは限りませんし、

すでに会社として終了を決めていれば、詳細な説明を避けることもあるでしょう。

しかしそれでも、質問する意味はあります。

目的は、

次の管理会社でも同じ問題が起きるかどうかを判断する材料を集めることです。

「同じ条件で次を探す」という前提を疑った方がよい

更新拒否を受けると、多くの場合、

「現在と同じ管理内容で引き受けてくれる会社を探そう」となります。

しかし、ここは一度立ち止まって考えた方がよいところです。

そもそも現在の管理仕様が、そのマンションに合っているとも限らないからです。

例えば30戸程度のマンションで、管理員を週3日配置することが本当に必要なのか。

逆に、役員のなり手がほとんどいないマンションで、管理会社の業務を減らすことが本当に可能なのか。

会計は外注した方がよいのか。

設備業者とは管理組合が直接契約した方がよいのか。

理事会支援だけ別に確保した方がよいのか。

全面委託を続ける方法もあります。

一部だけ外部化する方法もあります。

管理組合が担う部分を増やす方法もあります。

管理委託費を上げてでも、外部へ任せる範囲を広げる方法もあります。

重要なのは、

「管理会社を変えるか」ではなく、「今後どういう体制で運営するのか」を決めることです。

管理会社選定は、その後の話です。

更新拒否は、管理組合にとって重要な分岐点になる

管理会社から契約更新を断られることは、軽い問題ではありません。

しかし、

「このマンションは管理会社から見放された」とまで考える必要はありません。

管理会社側の経営事情だけで終了することもあります。

現在より条件の合う管理会社が見つかることもあります。

一方で、更新拒否を単なる会社変更として処理すると、問題が残ることもあります。

管理委託費が上がる。

業務範囲が減る。

理事会は、相変わらず意思決定ができない。

そして再び管理会社との関係が悪化する。

こうなると、管理会社を変更するたびに条件だけが厳しくなっていきます。

これは「次の管理会社の質が低い」という問題ではありません。

同じ管理体制を繰り返していること自体に原因があるかもしれない。

そこを一度疑ってみる必要があります。

また、逆に、

更新拒否をきっかけにして、

管理会社の業務範囲を整理する。

管理組合が決めることを整理する。

理事会の意思決定手順を決める。

外部へ任せる業務を組み直す。

こうした見直しができれば、以前より安定した管理体制にすることも可能です。

更新拒否は、衰退の始まりではありません。

しかし、

何も見直さず、会社名だけを入れ替えるのであれば、同じ問題を繰り返す可能性があります。

次の管理会社を探す前に確認してほしいこと

契約終了までの時間が限られている場合、後継管理会社探しを止める必要はありません。

原因分析と並行して進めればよいと思います。

そのうえで、少なくとも次のことを確認してください。

  1. 現在の管理会社が更新しない理由は何か
  2. 過去数年間に値上げや業務見直しの申し入れがなかったか
  3. 管理委託契約に書かれていない業務をどの程度依頼していたか
  4. 理事会・理事長・区分所有者から管理会社への指示経路は整理されていたか
  5. 現在の管理仕様を、そのまま次の会社へ引き継ぐ必要が本当にあるか

そして、もう一つ確認してほしいことがあります。

今回の更新拒否の原因を解決しないまま次へ進んでいないか。

ここまで整理して初めて、

同じ仕様で別の管理会社を探すのか。

仕様を減らすのか。

逆に委託範囲を広げるのか。

一部を直接契約へ切り替えるのか。

管理組合側の運営方法を見直すのか。

という選択肢を比較できます。

管理会社から契約更新を断られたとき、最初に探すべきなのは、必ずしも次の管理会社ではありません。

最初に探すべきなのは、「なぜ現在の管理体制が続けられなくなったのか」という理由です。

株式会社関西建物センターでは、小規模マンションや自主管理マンションを中心に、管理会社変更だけでなく、管理組合と管理会社の役割分担や管理体制そのものを整理するご相談にも対応しています。

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