管理会社に断られるマンションの特徴とは――管理会社が見ている6つのポイント

「管理会社を変更しようと思って何社かに声をかけたが、見積りを出してもらえなかった」

「小規模だから難しいと言われた」

「今の管理会社から値上げを提示され、他社を探したものの、思ったほど候補が見つからない」

こうした相談を受けることがあります。

管理会社から断られると、「戸数が少ないから仕方がない」と考えてしまいがちです。

しかし、実際には、小規模マンションだからという理由だけで受託できないとは限りません。

10戸、20戸程度でも管理会社が入っているマンションはありますし、逆に、ある程度の戸数があっても、管理会社が慎重になるマンションもあります。

管理会社が受託を検討するときに見ているのは、戸数だけではありません。

具体的な視点をお伝えしますと、

「このマンションを管理するために、どの程度の仕事が必要になるのか」を見ています。

もちろん、管理会社ごとに受託基準は違います。

それでも、見積りを作る前後で確認する項目には、ある程度共通するものがあります。

今回は、管理会社側から見た受託判断について、実務上よく確認する6つのポイントを考えてみます。

1.管理会社が見ているのは「問題の有無」だけではない

管理会社も事業ですから、できれば適正な利益が確保できる形で管理を受託したいと考えます。

ただ、見積りを依頼された段階で、

「このマンションは手間がかかりますか」と直接聞くわけにはいきません。

そこで、現在の管理状況を示す資料やヒアリング内容から、

「受託後にどのような仕事が発生しそうか」を推測します。

ここで大切なのは、管理会社が必ずしも「問題のあるマンション」を嫌っているわけではない、ということです。

多少問題があっても、その内容が整理され、必要な仕事量が把握できれば、見積りは作ることができます。

反対に、表面上は問題なさそうでも、

「過去の経緯が分からない」

「誰が何を判断しているのか分からない」

「資料が揃っていない」

というマンションでは、受託後にどれだけ仕事が増えるのか予測しにくくなります。

管理会社にとって受託しやすいのは、

問題がないマンションというより、管理に必要な仕事が見えているマンションともいえます。

その判断材料となるのが、次の6項目です。

2.長期滞納者が存在するか

最初に確認したいのが、管理費や修繕積立金の長期滞納です。

もちろん、滞納者が一人いるだけで受託できないという話ではありません。

問題は、その滞納がどのような状態なのかです。

例えば、

数年間ほとんど督促していない。

誰が最後に連絡したのか分からない。

理事会で対応方針を決めていない。

過去の督促記録が残っていない。

こうした状態では、管理会社が受託したあとに、まず過去の経緯から整理しなければなりません。

滞納者本人への連絡だけでなく、理事会への報告、今後の督促方針の検討、場合によっては専門家への相談など、仕事が連鎖していきます。

逆に、同じ長期滞納があったとしても、

「これまでどこまで督促したか」

「管理組合として今後どうする予定なのか」

が整理されていれば、管理会社側も必要な作業量を予測できます。

つまり、滞納額だけではなく、未処理の問題がどの程度残っているかを見ているのです。

3.管理員・清掃員をどのように配置するか

次に問題になりやすいのが、管理員や清掃員の配置です。

管理組合からすれば、

「週3日、1日3時間程度で十分」という考え方は自然です。

実際、建物の規模だけを考えれば、それほど長い勤務時間が必要でないマンションもあります。

しかし、現在は、このような短時間勤務ほど人を確保しにくい状況にあります。

例えば、

午前中だけ3時間。

週2日だけ勤務。

交通費をかけて現地まで行く。

一つの現場に、同一人物が常勤として責任を持って勤務する。

この条件では、募集を出しても応募者がなかなか集まりません。

ここには、見落とされやすい問題があります。

管理組合は、

「必要な作業時間」を基準に考えます。

一方、管理会社は、

「その勤務条件で実際に働いてくれる人を確保できるか」まで考えなければなりません。

したがって、勤務時間を減らせば必ず管理委託費が下がり、受託しやすくなるとは限りません。

管理会社にとっては、人員確保そのものが受託判断の重要な条件になります。

4.建物・設備の点検項目がどの程度あるか

マンションには、消防設備、給水設備、エレベーター、機械式駐車場など、さまざまな設備があります。

当然ながら、建物によって設備の種類は大きく違います。

設備が少ないこと自体は悪いことではありません。

設備が少なければ、管理組合が負担する維持費も少ない傾向があります。

ただ、管理会社側から見ると、管理員、清掃、会計、理事会支援、設備管理など、委託される業務全体の規模が小さい場合、一定の事務コストを吸収しにくくなることがあります。

マンション管理では、戸数が少なくても、

月次会計を行う。

請求書を処理する。

理事長と連絡する。

総会資料を作る。

契約を管理する。

といった仕事はなくなりません。

20戸だから100戸の5分の1の仕事量になるわけではないのです。

そのため管理会社は、「設備が多いか少ないか」という一点だけではなく、管理業務全体としてどれくらいの仕事量になるのかを見ています。

5.理事会はどのくらいの頻度で開かれているか

これは管理組合側からすると、少し意外かもしれません。

「理事会を頻繁に開いている方が、しっかり管理しているのではないか」という考えもあるからです。

たしかに、その通りの場合もあります。

しかし、管理会社の仕事量という観点では別の見方も必要になります。

例えば20戸のマンションで毎月理事会を開催し、そのたびに管理会社担当者の出席を求める場合を考えてみます。

年間12回です。

一方、同じ20戸でも、通常の案件は理事長と管理会社で整理し、理事会は3か月に一度とするマンションなら年間4回です。

単純に理事会への出席回数だけでも、大きな差があります。

しかも実際には、

議案を整理する。

資料を準備する。

理事からの質問に回答する。

宿題を持ち帰る。

次回までに確認する。

という仕事も発生します。

ここで誤解してはいけないのは、「理事会を減らせばよい」という話ではありません。

理事会を頻繁に開く必要があるマンションもあります。

問題は、

何を理事会で決め、何を日常業務として処理するのかが整理されているかどうかです。

小規模マンションほど、一つ一つの判断をすべて理事会に持ち込む運営にすると、管理組合にも管理会社にも大きな負担になります。

6.修繕履歴や長期修繕計画などの書類が整理されているか

最近、管理会社が見積りを出す前に、長期修繕計画や修繕履歴などを求めるケースがあります。

これも単に、

「しっかりしたマンションかどうか」を確認しているだけではありません。

過去に何を修繕したのか。

現在どの設備に問題があるのか。

次にどのような工事が予定されているのか。

過去の契約関係はどうなっているのか。

これらが分からなければ、管理会社は受託後に一から調べなければなりません。

実際の現場では、

「以前工事をしたはずだが資料がない」

「誰に頼んだか分からない」

「前の理事長なら知っていると思う」ということもあります。

この状態では、建物の管理そのものより先に、過去を調べる仕事が発生します。

書類整理というと事務的な話に見えますが、管理会社側からすると、受託後の不確定な作業量を測る材料でもあります。

7.修繕積立金と管理費会計に無理がないか

最後は会計です。

管理会社が特に気にするのは、

「今の管理仕様を、この管理費で続けられるのか」という点です。

例えば、現在すでに管理費会計が赤字であるにもかかわらず、

管理員の勤務時間は減らしたくない。

清掃回数も減らしたくない。

理事会にも毎回出席してほしい。

管理委託費も上げられない。

となれば、管理会社としては提案できる余地がかなり狭くなります。

修繕積立金についても同じです。

積立金が少ないことだけで管理を断るわけではありません。

ただし、今後必要な修繕が見込まれているにもかかわらず、資金計画について管理組合内で全く話し合われていなければ、受託後に大きな調整が必要になる可能性があります。

ここでも管理会社が見ているのは、単純な残高ではありません。

現在の管理体制を今後も継続できる状態なのかということです。

「問題のあるマンション」より「問題が見えないマンション」の方が難しい

ここまでの6項目を見ると、管理会社が受託判断をするときの考え方が少し見えてきます。

長期滞納者がいるから駄目。

理事会が多いから駄目。

修繕積立金が少ないから駄目。

という単純な話ではありません。

例えば、

長期滞納者はいるが対応履歴は整理されている。

修繕積立金は十分ではないが今後の対応方針は決まっている。

管理員の勤務時間は短いが、業務範囲が明確になっている。

こうしたマンションなら、管理会社も必要な仕事を予測できます。

反対に、

資料がない。

過去の判断経緯が分からない。

役員ごとに言うことが違う。

何を管理会社に頼みたいのかも明確ではない。

という状態では、受託後の仕事量を予測できません。

管理会社からすると、最も判断しにくいのは、

問題があるマンションではなく、どこまで問題があるのか分からないマンションなのです。

これは管理会社を探す管理組合にとって、一つ重要な視点だと思います。

管理会社から断られたとき、すぐ次を探す前に

一社から見積りを断られたとしても、それだけでマンションに重大な問題があるとは限りません。

管理会社によって、営業エリア、人員体制、得意とする規模、受託基準は違います。

別の管理会社なら問題なく受託できることもあります。

ただし、複数の会社から同じように難色を示されるのであれば、一度、

  • 長期滞納への対応状況
  • 管理員・清掃員の勤務条件
  • 設備点検など委託業務の内容
  • 理事会の開催方法
  • 修繕履歴や契約書類
  • 管理費会計と修繕積立金

を整理して、管理組合で確認してみる価値はあります。

なお、ここで確認するのは、

「うちのマンションは良い管理組合なのか、悪い管理組合なのか」ということではありません。

新しい管理会社から見て、どこに仕事量が見えにくい部分があるのか、です。

管理会社から受託を断られた場合、さらに管理会社を探す方法もあります。

一方で、現在の管理仕様そのものを見直す、業務の一部を切り分ける、管理組合側の運営方法を整理するといった選択肢もあります。

具体的に何を見直すべきかについては、関連記事

「管理会社に断られたマンションはどうすべきか」

で整理しています。

管理会社を探すことと、管理体制を整えることは、必ずしも別の話ではありません。

管理会社から選ばれるために形を整えるのではなく、誰が管理しても無理なく続けられる状態をつくる。

その結果として、受託できる管理会社の選択肢が増える。

KTCでは、この順番で考えることが大切だと考えています。

株式会社関西建物センターでは、小規模マンションや自主管理マンションなど、一般的な管理仕様がそのまま当てはまりにくい管理組合について、管理会社探しだけでなく、現在の管理体制の整理からご相談をお受けしています。