管理会社に断られる小規模マンションには、どんな共通点があるのか

「何社に声をかけても、管理を引き受けてもらえない」

小規模マンションや自主管理マンションから、このような相談を受けることがあります。

管理会社からは、

「規模が小さいため難しい」
「採算が合わない」
「弊社の管理方針と合わない」

といった説明をされることが多いでしょう。

それが本当の理由であるかもしれません。管理会社にも営業エリア、人員配置、最低受託金額、社内方針があります。

ただ、実際に相談を受けてマンションの状況を確認すると、それだけでは説明できないケースもあります。

なかでも、特に私たちが目にするのは、突き詰めれば以下の二つです。

必要なときに、お金を出せるか。

そして、

必要なときに、決められるか。

これは「お金のないマンションや、意見のまとまらないマンションは管理会社から見放される」という話ではありません。

重要なのは、なぜそうなったのか、ということです。そして、そこから立て直せる余地がある状態なのかを見ることです。

小規模マンションの場合、この二つの問題が重なったときに、管理そのものが止まりやすいからです。

小規模マンションは「戸数が少ないから」断られるのか

小規模マンションは、管理会社にとって採算を合わせにくい面があります。

10戸でも100戸でも、総会はあります。

会計処理も必要です。

設備が故障すれば業者手配が必要ですし、漏水や住民間トラブルが起きれば対応もしなければなりません。

戸数が10分の1だからといって、管理業務まで10分の1になるわけではありません。

そのため、大手管理会社を中心に、小規模マンションの新規受託を積極的に行わない会社があるのは不思議ではありません。

しかし、KTCでは戸数だけを見て判断することはありません。

例えば同じ15戸のマンションでも、

管理費会計に余裕があり、
修繕積立金も一定額あり、
理事会や総会できちんと物事を決められているマンションと、

管理費会計が赤字で、
修繕積立金はほとんどなく、
何を提案しても決議できないマンションとでは、

管理の難易度はまったく違います。

つまり、

「小規模だから管理できない」のではなく、「小規模で余力が少ないところに問題が重なっているから管理が難しくなる」

ということです。

KTCが最初に見るのは、管理委託費ではない

管理会社変更の相談を受けると、最初に、

「いくらなら管理してもらえますか」と聞かれることがあります。

そこでいきなり管理委託費の話に入っても、管理組合の問題は解決しませんし、管理会社変更もうまくいきません。

稀に、現在の管理会社が管理を停止したので、現行と同額でなんとかしてほしい、というご相談もありますが。

まず確認したいのは、

現在の管理費収入はいくらあるのか。

毎年の支出はいくらなのか。

管理費会計は黒字なのか赤字なのか。

修繕積立金はいくら残っているのか。

滞納はどれくらいあるのか。

そして、今後どのような修繕や設備更新が控えているのか。

ということです。

なぜなら、管理会社を変更しても、マンションの財政状態そのものは変わらないからです。

むしろ、安い管理会社を探すことで一時的に支出を下げても、その間に必要な修繕を先送りしていれば、後からもっと大きな負担になることもあります。

小規模マンションでは、特にこの影響が大きくなります。

例えば300万円の設備更新が必要になったとします。

100戸なら、単純計算では一戸当たり3万円です。

20戸なら15万円。

10戸なら30万円です。

設備の価格は、戸数に比例して安くなるわけではありません。

給水ポンプ一台、受水槽一基、エレベーター一基といった設備には、ある程度の最低コストがあります。

そのため、小規模マンションで本当に資金がなくなると、

「ポンプを交換するかどうか」

という、本来なら技術的に判断すべき問題まで、

「お金がないからどうするか」

という問題に変わってしまいます。

ここまで来ると、管理会社を変更しただけでは解決しません。

「お金がない」の本当の意味を見る

ただし、修繕積立金が少ないだけで、KTCが直ちに「管理は難しい」と判断するわけではありません。

ここで重要なのは、現在の預金残高よりも、

必要な負担について、管理組合が現実を受け入れられるかということです。

例えば、積立金は少ない。

しかし、

「今後大きな修繕が必要なら、一時金も含めて考えなければならない」

と組合員の間で認識されているマンションなら、まだ立て直せます。

反対に、

管理費は上げたくない。

修繕積立金も上げたくない。

一時金も払いたくない。

しかし建物や設備は今までどおり維持してほしい。

という状態なら、管理会社にできることはかなり限定されます。

これは管理会社の努力不足という問題ではありません。

管理会社は、お金を生み出すことはできません。

必要な工事を提案することはできます。

複数の見積りを取り、優先順位を整理することもできます。

しかし、最終的に負担するのは区分所有者です。

したがってKTCが見るのは、

「お金があるか、ないか」

だけではありません。

不足が分かったときに、どうするかを決められる組合なのか。

そこまで見ています。

さらに難しいのは「決められないマンション」

もう一つ、管理会社が慎重になるのが、管理組合内部の意思決定です。

これは決算書だけを見ても分かりません。

理事会は開催されている。

総会も形式上は成立している。

それでも、実際には何年も重要な問題が前に進んでいないマンションがあります。

例えば、

大規模修繕について何年も結論が出ない。

管理費の値上げを提案しても毎回先送りになる。

前理事長と現理事長が対立している。

一部の組合員が、誰が提案しても反対する。

役員になった人だけに説明責任を集中させる。

総会で決議した後も、同じ問題が何度も蒸し返される。

こうした状態です。

ただし、反対意見があること自体は問題ではありません。

むしろ、管理費値上げ、大規模修繕、管理会社変更などについて、反対意見が出るのは当然です。

問題なのは、

「意見が違っても、最終的には決められる仕組みがあるか」です。

制度上、管理組合には総会や理事会などの意思決定手続があります。

しかし、制度が存在していることと、現場で意思決定が機能していることとは別です。

議案を作る人がいない。

必要な情報が整理されていない。

説明する人が理事長一人しかいない。

反対意見への対応も理事長個人に集中している。

こうなると、形式上は管理組合が存在していても、運営実態は一人の役員の献身に依存することになります。

私たちは、そこが問題だと考えます。

管理会社変更を繰り返している場合は、原因を一度止まって考える

「今の管理会社が悪いから変更したい」という相談は珍しくありません。

もちろん、実際に管理会社側に問題があることもあります。

担当者の対応が悪い。

報告が不十分。

契約内容が分かりにくい。

管理委託費が高い。

必要な提案がない。

こうした理由で管理会社を変更すること自体は、何も問題ではありません。

ただし、数年おきに管理会社を変更している場合は、一度立ち止まって考える必要があります。

毎回、本当に管理会社だけに原因があったのか。

管理会社に求めている業務範囲は明確だったのか。

管理組合自身が決めなければならないことまで、管理会社に求めていなかったか。

前回変更したときの問題は、本当に解決したのか。

ここを整理しないまま次の管理会社へ移ると、同じことが繰り返される可能性があります。

管理会社を変更することと、

管理体制を改善することは、同じではありません。

管理会社変更の相談であっても、場合によっては「今すぐ管理会社を変更すること」が最優先ではない場合があります。

先に会計を整理する。

修繕計画を整理する。

役員の役割を整理する。

理事会で何を決め、管理会社が何をするのかを整理する。

その後で管理会社を選ぶ方が、結果的にうまくいくこともあります。

小規模マンションには、全部委託以外の選択肢もある

管理会社に断られ続けると、

「どこか一社に全部お願いするしかない」と思いがちです。

しかし、それも一つの思い込みです。

例えば、

会計業務だけ外部委託する。

建物・設備管理だけ専門家に支援してもらう。

理事会や総会の議案整理だけ外部支援を利用する。

清掃や点検は個別契約を残す。

必要な部分から少しずつ外部化する。

こうした方法があります。

逆に、自主管理を継続する方がよいマンションもあります。

役員のなり手がいて、会計が適正で、修繕についても判断ができるのであれば、必ずしも管理会社へ全部委託する必要はありません。

重要なのは、「自主管理か全部委託か」ではありません。

管理組合のどこに能力があり、どこが不足しているのかを分けて考えることです。

KTCが考える管理会社の役割も、単に人を派遣して作業を代行することではありません。

管理組合が自分たちで決めなければならないことと、外部へ任せることを整理し、理事長一人に依存しなくても運営が続く体制をつくることです。

管理会社を探す前に確認してほしいこと

もし、複数の管理会社に断られているのであれば、さらに見積依頼先を増やす前に、一度次の点を確認してみてください。

  • 管理費会計は黒字か、赤字か
  • 修繕積立金はいくらあるか
  • 滞納額はいくらあるか
  • 今後5~10年間に大きな修繕や設備更新があるか
  • 管理費・修繕積立金を必要に応じて見直せる土壌はあるか
  • 総会で重要事項を実際に決められているか
  • 長期間解決していない内部対立はないか
  • 理事長一人に仕事や責任が集中していないか
  • 過去に管理会社を変更しているなら、その理由は何だったか
  • 管理会社に何を任せ、自分たちで何を決めるのか整理されているか

この確認をすると、

「管理会社が見つからない」

という問題の中に、

資金不足の問題、

修繕計画の問題、

役員体制の問題、

意思決定の問題、

契約範囲の問題

が混在していることが解ってきます。

そして、問題ごとに解決方法は異なります。

小規模マンションにとって本当に危険なのは、単に戸数が少ないことではありません。

お金がないことと、決められないことが同時に起き、その状態を誰も整理できなくなることです。

反対に言えば、資金が十分でなくても、現実を共有して必要なことを決められる管理組合なら、立て直せる可能性は十分あります。

管理会社探しは、その後でも決して遅くはありません。

KTCでは、小規模マンションや自主管理マンションについて、単に「管理を引き受けられるか」というところからではなく、会計、修繕、役員体制、意思決定の状況を整理し、どこを管理組合に残し、どこを外部へ任せるのが現実的なのかというところからご相談を受けています。

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