小規模マンションの管理委託費はいくらくらいか

管理会社を探していると、当然気になるのが管理委託費です。

「20戸くらいなら、月額いくらが普通なのか」

「今の管理会社から値上げを言われたが、高すぎるのではないか」

「他社から見積りを取れば、適正価格が分かるのではないか」

そう考えるのは当然です。

しかし、小規模マンションの場合、単純に「1戸あたりいくら」という相場だけを見ても、適正な管理委託費はなかなか分かりません。

なぜなら、小規模マンションでは、

戸数よりも「何を管理会社に任せるか」によって、管理委託費が大きく変わるからです。

管理委託費にも内訳がある

「管理委託費」とひとまとめにされますが、実際にはいくつもの業務が含まれています。

例えば、

  • 管理組合会計
  • 管理費等の収納
  • 未収金管理
  • 理事会・総会支援
  • 建物・設備の巡回
  • 管理員業務
  • 修繕や業者との調整
  • 居住者からの問い合わせ対応

などです。

そして、それぞれの業務に人の時間がかかります。

したがって、

管理会社に何を任せるのか

によって管理委託費は変わります。

ここを見ずに、月額総額だけを比較しても、本当の意味で高いのか安いのかは判断できません。

小規模マンションほど「1戸いくら」で考えにくい

例えば、管理組合会計を考えてみます。

20戸のマンションと100戸のマンションでは、確かに入金確認などの件数は違います。

しかし、

月次の締めをする。

預金残高を確認する。

帳簿を作る。

理事会に報告する。

年度末に決算する。

こうした基本的な作業は、20戸だから5分の1になるわけではありません。

管理会社側には、戸数に関係なく最低限必要となる作業があります。

そのため、小規模マンションほど、1戸あたりに割り戻した金額は高くなりやすくなります。

これは修繕工事でも似ています。

10戸だから足場代が100戸の10分の1になるわけではありません。

マンション管理にも、一定の「最低限必要なコスト」があります。

会計業務は比較的切り分けやすい

その中でも、管理組合会計は比較的業務範囲を明確にしやすい仕事です。

例えばKTCでは、

  • 管理費等の請求・入金管理
  • 出納
  • 未収金管理
  • 月次会計報告
  • 年次決算・予算資料

などを組合会計業務としてお引き受けしています。

料金の目安は、

月額30,000円~50,000円程度(税別)

としています。

ただし、同じ20戸でも必ず同じ金額になるわけではありません。

入出金の件数。

滞納の状況。

駐車場などの使用料管理。

月次報告の内容。

過去の会計資料が整理されているか。

どこまでKTC側で確認・修正する必要があるか。

こうした条件によって業務量が変わるためです。

「クラウドだから安い」とも限らない

最近では、管理組合向けのクラウドシステムも増えています。

これは非常に便利です。

ただし、ここでも確認したいのは、

システムの料金ではなく、「誰が作業するのか」

です。

システムを導入しても、

請求内容を入力する。

支払内容を登録する。

未収金を確認する。

帳簿の内容を確認する。

理事会向けの資料を作る。

こうした作業を管理組合側で行うのであれば、管理組合の負担そのものがなくなるわけではありません。

逆に、システム利用料が多少高くても、入力や確認まで外部に任せられるのであれば、役員負担は大きく減ります。

したがって、

「クラウドはいくらか」ではなく、「その金額で誰が何をするのか」を確認する必要があります。

管理委託費も同じである

これは会計だけの話ではありません。

例えば、

毎週管理員を配置する。

管理会社担当者が毎月理事会に出席する。

議案書を管理会社が作る。

建物を毎月巡回する。

修繕業者との打ち合わせを管理会社が行う。

居住者からの問い合わせを管理会社が受ける。

これらをすべて依頼すれば、当然、管理会社側に必要な人員と時間は増えます。

逆に、

管理員を常駐から巡回に変える。

簡単な作業は管理組合側で行う。

理事会開催回数を整理する。

会計だけは外部に任せる。

修繕が必要なときだけ専門家を使う。

という管理体制にすれば、委託費を抑えられる可能性があります。

つまり、

小規模マンションほど管理委託費が高い

というだけではありません。

もう一つの見方をすれば、

小規模マンションほど、管理体制の設計によって管理委託費を変えられる余地がある

とも言えます。

「全部任せる」ことにも価値がある

もちろん、管理組合が自分たちで仕事をすることが正しいわけではありません。

役員のなり手がいない。

高齢化している。

仕事をしている人ばかりで時間がない。

会計や修繕について分かる人もいない。

このようなマンションで、

「安くするために住民で全部やりましょう」

と言っても続きません。

その場合は、管理委託費を払ってでも管理会社に広く任せる方が合理的です。

お金を払う代わりに、時間と責任と継続性を買う。

これも管理委託の価値です。

一方で、

できる仕事まで全部管理会社に任せる必要はない、

という管理組合もあります。

どちらが正しいという話ではありません。

相見積りだけでは適正価格は分からない

管理委託費を確認するとき、多くの管理組合が相見積りを取ります。

これは必要なことです。

しかし、相見積りだけで適正価格が分かるとは限りません。

A社 月額15万円。

B社 月額18万円。

C社 月額22万円。

これだけ見ればA社が安い。

しかし、

A社は理事会出席が別料金。

B社は月1回まで含む。

C社は修繕対応までかなり広く含んでいる。

のであれば、単純には比較できません。

さらに重要なのは、

そのマンションに、本当にその業務が全部必要なのか

という問題です。

必要のない業務まで含めた3社から見積りを取っても、

「不要な仕事を一番安くやってくれる会社」

を選んでいるだけかもしれません。

先に決めるべきなのは「いくら払うか」ではない

小規模マンションで管理会社を探す場合、

最初に、

「月10万円以内でやってくれるところ」

と決めるより、

まず、

自分たちのマンションで何を外部に任せる必要があるのか

を考えた方がよいと思います。

会計は任せる。

管理員はいらない。

建物巡回は必要。

理事会支援は必要。

簡単な住民対応は管理組合で行う。

このように整理したうえで見積りを取れば、

各社の金額の意味が見えるようになります。

小規模マンションの適正な管理委託費とは

結局、

「小規模マンションなら管理委託費はいくらが相場ですか」

という質問に、一つの金額で答えることは難しいと思います。

人手が不足している現在、

管理会社に多くの業務を任せ、その分の費用を支払う。

それも一つの方法です。

一方で、

管理組合と管理会社で仕事を分担し、必要な部分だけを外部化する。

これも一つの方法です。

クラウドやAIなど、以前にはなかった道具も使えるようになりました。

だからこそ、

昔からある「標準的な管理」をそのまま買うのではなく、自分たちのマンションに必要な管理体制を考える。

その結果として、

「この管理を続けるためには、毎月いくら必要なのか」

を考える。

私は、その順番の方が合理的だと思っています。

適正な管理委託費は、相見積りの中に最初から存在しているものではありません。

自分たちのマンションに必要な管理を決め、その仕事に必要な費用を確認して、初めて見えてくるものです。


小規模マンションの管理委託費を確認したい方へ

KTCでは、最初から全面委託を前提にするのではなく、

  • 管理会社に任せる仕事
  • 管理組合に残せる仕事
  • 外部化した方がよい仕事

を整理したうえで、管理体制と管理委託費をご提案しています。

現在の見積りが高いのか分からない、どこまで管理会社に任せればよいのか分からない、という段階でも構いません。

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